外務省渡航情報(インドネシア) / 2010年4月22日

http://www.anzen.mofa.go.jp/info/info.asp?num=2010T042


<外務省「渡航情報」(危険情報):インドネシア>
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 ●中部スラウェシ州のポソ県及びパル市
    :「渡航の是非を検討してください。」(引き下げ)
 ●ナングル・アチェ・ダルサラム州(旧アチェ特別州),パプア州,
  西パプア州
    :「渡航の是非を検討してください。」(継続)
 ●マルク州,北マルク州,中部スラウェシ州(ポソ県及びパル市を除く)
    :「十分注意してください。」(引き下げ)
 ●上記を除くすべての地域(首都ジャカルタ及びバリ島を含む)
    :「十分注意してください。」(継続)
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☆詳細については、下記の内容をよくお読み下さい。

<平成22年(2010年)4月21日発出>
1.概況
(1)インドネシアにおいては,ジュマ・イスラミーヤ(JI)が首謀したと
  見られる大規模な自爆テロ事件については,2002年10月のバリ島爆弾テ
  ロ事件以降4年連続して発生した後は,2006年以降3年間は発生していま
  せんでした。しかし,2009年7月,ジャカルタ市内のホテル2か所におい
  て同時爆弾テロが発生し,自爆犯2人を含む9人が死亡,50人以上が負傷
  しました。右事件発生以降,国家警察による捜査が展開され,同年8月
  から10月までの間に,中部ジャワ州やジャカルタ近郊等のテロリストの
  アジトが摘発され,ヌルディン・トップ容疑者を始めとする本件に関与
  したとみられるテロリスト7人が殺害されたほか,多数の容疑者が逮捕
  されました。また,2010年2月以降,アチェにおいて武装訓練を行って
  いたJI関係者が多数摘発されたほか,ジャカルタにおいてJI幹部ドゥル
  マティンらが射殺されましたが,依然として逃亡中のテロリストがいる
  ことなどから,今なお,テロの脅威が存在していますので,テロの標的
  になるような場所には可能な限り近づかないよう十分に注意を払うなど,
  自らの安全確保に留意してください。

(2)2009年4月の議会選挙,同年7月の大統領選挙は平和裡に実施されたも
  のの,武器及び弾薬を使用した事件が依然として散発的に発生している
  ナングル・アチェ・ダルサラム州,独立問題等を背景に武力衝突が散見
  されたマルク州アンボン島,分離独立や州の分割問題を抱えるパプア州
  及び西パプア州については,引き続き治安情勢の推移を注意深く見守る
  必要があります。

(3)また,首都ジャカルタを始めとする主要都市では,国内政治の動きと
  共に,今後も学生・労働組合等を始めとする大小様々なデモ活動が発生
  する可能性もありますので,外出の際には注意する必要があります。

(4)2005年にインドネシア国内で鳥インフルエンザ(H5N1)のヒトへの感
  染が確認されて以降,国内各地で罹患者が確認されています。世界保健
  機関(WHO)によると,2010年3月4日時点で,163人が感染し,うち135人
  が死亡しています。なお,新型インフルエンザ(H1N1)はインドネシア
  国内においても感染者が確認されています。(インドネシア保健省は,
  2009年9月以降,感染者数の個別発表はしていませんが,2009年9月の情
  報では,1,098人が感染し,うち10人が死亡しています。)

2.地域情勢
(1)中部スラウェシ州のポソ県及びパル市
  :「渡航の是非を検討してください」(引き下げ)
   中部スラウェシ州ポソ県及びパル市では,2005年に市場での爆弾爆発
  事件,住民射殺事件,女子高生襲撃事件などが発生しました。2006年に
  は,キリスト教会,イスラム寺院,治安当局詰所等での爆弾爆発事件や
  ポソ県警察署長狙撃事件が発生しており,同年9月22日にポソ紛争に関
  与したキリスト教徒死刑囚への死刑が執行された後も,爆弾爆発事件,
  治安当局と住民の衝突事件,テンテナ地方検察庁放火事件,パルの牧師
  殺害事件等が散発的に発生しています。2007年には,治安部隊とこれら
  の事件に関与したイスラム過激派(現在指名手配中)等との間で銃撃戦
  が発生しており,同年4月と5月にはカシギンチュで爆発事件が発生しま
  した。しかし,以降これまで,宗教間の大規模な衝突や爆弾テロ事件な
  どは発生しておらず,宗教紛争当時の大規模な混乱は収束しつつありま
  す。また,民主化の流れが浸透しつつあることなどから,紛争の火種は
  小さくなってきています。従って,同地域の危険情報を「渡航の延期を
  お勧めします。」から「渡航の是非を検討してください。」に引き下げ
  ますが,同地域の不安定要因は完全には消えたわけではないので,渡航
  を予定している方はその是非を含め自らの安全について真剣に検討し,
  渡航される場合には十分な安全対策を講じてください。

(2)ナングル・アチェ・ダルサラム州(旧アチェ特別州),パプア州,
  西パプア州
  :「渡航の是非を検討してください。」
   これらの地域へ渡航を予定されている方は,常に最新の情報の入手に
  努め,渡航の是非を含め自らの安全について真剣に検討し,渡航される
  場合には十分な安全対策を講じてください。
 (イ)ナングル・アチェ・ダルサラム州(旧アチェ特別州)
    同州においては,2005年に,インドネシア政府とアチェの独立を求
   める武装集団「GAM(独立アチェ運動)」との間で和平合意が結ばれま
   した。その後,同合意に沿った和平プロセスが比較的順調に推移して
   いますが,同州では,元GAM兵士の社会復帰をめぐる問題や経済格差
   といった問題が残っており,散発的に強奪,要人宅等への手榴弾投げ
   込み事件,暴力事件などが発生している上,金銭目的の強盗や銃器等
   を使用した犯罪も発生しています。また,同州においては, 2008年
   に,中国人や世界銀行のコンサルタント(フランス人)を対象とした
   身代金目的の誘拐事件も発生しています。2009年11月には外国人を対
   象とした銃撃事件が複数発生しています。
    2010年2月には,アチェ山中において武装訓練を行っていたJI関係
   者が多数摘発されましたが,同年3月現在,依然として逃亡中の者が
   おり,警察による捜索が継続されています。
 (ロ)パプア州及び西パプア州
    パプア州及び西パプア州においては,分離独立を求める声もあり,
   独立派住民が関与しているとも言われる衝突等が治安当局との間で散
   発的に発生しています。
    プンチャック・ジャヤ県ムリアでは,国軍駐屯部隊襲撃や民間人の
   殺害事件が発生したほか,治安当局と住民との間で銃撃戦が発生して
   います。
    また,米系鉱山会社フリーポート社に係るテンバガプラでの警備員
   と地元民との衝突事件や,アベプラでの抗議デモグループと警官隊と
   の衝突事件が発生しているほか,ティミカでのシェラトン・ホテル襲
   撃事件,ジャヤプラでのチェンドラワシ大学卒業生狙撃事件等が発生
   しています。2009年7月には,フリーポート社の社員(豪州人)及び
   警備員が連続して射殺される事件が発生しています。
    なお,過去にティミカにおいて外国人を含む民間人が射殺される事
   件や,パプア州の三分割に関連して,中部イリアンジャヤ州の設立を
   めぐって賛否両派の住民による衝突事件が発生しています。

(3)マルク州,北マルク州,中部スラウェシ州(ポソ県及びパル市を除く)
  :「十分注意してください。」
  上記を除くすべての地域(首都ジャカルタ及びバリ島を含む)
  :「十分注意してください。」
   マルク州は2年にわたって,また,北マルク州,中部スラウェシ州は
  数年にわたって,大規模な宗教間衝突や爆弾テロ事件などは発生してお
  らず,治安は総じて平穏に推移していますので,危険情報を「渡航の是
  非を検討してください。」から「十分注意してください。」に引き下げ
  ます。しかしながら,いずれの州においても紛争の火種が依然燻ってい
  ますので,渡航に際しては十分な安全対策を講じるようお勧めします。
   つきましては,不測の事態に巻き込まれないよう最新の関連情報の収
  集に努めるとともに,欧米人が多く集まるナイト・クラブやディスコ,
  主要欧米関連施設(例えば,各国の在外公館等政府関連機関,外資系等
  の主要企業関連施設)など,爆弾テロの標的となるような場所には極力
  近づかないよう御注意ください。さらに,ショッピング・モール等の大
  勢の人が集まる場所でも十分注意を払い,夜間の外出はできる限り控え,
  外出の際には,車での移動,歩行時を問わず,不審な動きをしている人
  物や車がいないかなど周囲の状況に最大限の注意を払って,自らの安全
  確保を心掛けてください。また,宿泊あるいは利用するホテルや訪問予
  定の観光スポットについても,標的とされる可能性はないか,十分な安
  全対策がとられているか等につき確認するなど,渡航に際しては従来に
  も増して慎重な検討をお勧めします。

3.滞在に当たっての注意
(1)渡航者全般向けの注意事項
 (イ)首都ジャカルタやバリ島においては,過去爆弾テロ事件が発生して
   いますので,テロ関連情報に十分留意しつつ,安全対策につき再度確
   認してください。
 (ロ)一般治安に係る日本人の被害状況としては,依然として犯行の動機
   が金銭目的である犯罪や強盗,殺人事件が発生しているほか,パンク
   強盗,路上でのひったくり,一流ホテル内のロビーやレストランでの
   置き引きの被害が依然としてあとを絶ちません。また,タクシー強盗
   及び路線バス内での集団スリなど刃物を所持した強盗等も多く発生し
   ています。ホテル内も含め,それぞれ十分な注意が必要です。詳しい
   犯罪手口については,<安全対策基礎データ>を御参照ください。
 (ハ)2005年に鳥インフルエンザのヒトへの感染例が確認されて以降,現
   在に至るまで,継続して感染例が確認されています。養鶏場,鳥を扱
   う市場,観賞用鳥店,動物園,家禽類飼育家庭などへの不用意・無警
   戒な立ち寄り,接触を避け,さらに,鳥類の死体,内臓,排泄物には
   接触しないでください。また,鶏肉や卵を調理する際には十分に加熱
   してください。念のため,人込みへの立入りは最小限にし,外出後に
   は手洗い,うがいなどの通常の感染症予防対策を励行してください。
   高熱,全身倦怠感,呼吸器症状等が出た場合には,ためらわず最寄り
   の信頼できる医師あるいは病院で診察を受けてください。今後,ヒト
   からヒトへの感染が発生・拡大するような状況になる可能性があり,
   その場合には,出入国や物流の制限が生じ,社会生活に大きな影響が
   及ぶおそれがあるため,最新の情報を入手するように努めてください。
    また,狂犬病に関しては,インドネシア国内で毎年約100人前後が
   狂犬病の感染により死亡していますが,バリ州保健当局によれば,バ
   リ島では2008年に初めての感染事例が確認されて以降,2010年3月3日
   までに21人の死亡が確認されている模様です。狂犬病は犬だけでなく
   猫やイタチ等の他の哺乳動物からも感染する可能性があるため,犬や
   猫などにむやみに手を出さないよう注意し,もし狂犬病のおそれのあ
   る動物に咬まれてしまった場合には,速やかに医療機関で受診して適
   切なワクチンを接種してください。
 (ニ)当国訪問に際して常用薬を多量に持参される方は,入国の際等に無
   用の誤解やトラブルが発生する可能性があります。多量の常用薬を持
   参される方は,念のため治療薬の処方箋(英文・写真入り等)を用意
   する等,トラブル回避に努めてください。

(2)観光旅行者向けの注意事項
   バリ島,ジョグジャカルタ,バタム島,ビンタン島等の観光地では,
  強盗傷害事件,ひったくり,スリ,タクシー運転手による料金不当請求,
  麻薬犯罪(薬物売買に巻き込まれるケースを含む),カード賭博詐欺,
  睡眠薬強盗等に日本人が巻き込まれるケースが多発していますので,甘
  い言葉で接近してくる人物には警戒するとともに,これら犯罪に巻き込
  まれないよう安全対策を心掛けてください。
   また,2009年9月末には,バリ島にて邦人女性観光客2名が警察官にな
  りすました犯人に宿泊先のホテルから連れ出され,うち1名が殺害され
  る事件がありました。インドネシア警察は,宿泊先に警察官を名乗る者
  が来て連行しようとする場合,ホテル側に依頼して警察署に電話しても
  らい,警察官と名乗る者の氏名や職員番号等の身元確認をする等し,相
  手の要求には不用意に応じないなど未然の防止対策をとるよう呼び掛け
  ています。もし,警察への連絡が取れない場合は,取扱旅行会社,又は
  日本総領事館等に連絡して,警察官と名乗る者の身元確認に努めてくだ
  さい。特に,深夜の時間帯に警察官が単身で宿泊先に来て同行を求める
  ような場合は,一層慎重に対応する必要があります。
   犯罪発生状況,防犯対策の詳細については,<安全対策基礎データ>
  を御参照ください。

(3)長期滞在者向けの注意事項
   インドネシアに滞在中の方は上記情勢を十分考慮し,下記事項に十分
  留意して行動してください。また,バタム島及びビンタン島については,
  在シンガポール日本国大使館においても最新の情報が入手可能です。
 (イ)現地に3か月以上滞在される方は,緊急時の連絡などに必要ですの
   で,到着後遅滞なく管轄の総領事館に「在留届」を提出してください。
   また,住所その他の届出事項に変更が生じたとき又はインドネシアを
   去る(一時的な旅行を除く)ときは,必ずその旨を届け出てください。
    なお,在留届は,在留届電子届けシステム(OPRネット,
    http://www.ezairyu.mofa.go.jp/ )による登録をお勧めします。
   また,郵送,FAXによっても行うことができますので,管轄の総領事
   館まで送付してください。
 (ロ)外出の際には身の周りの安全に注意を払うとともに,可能な限り夜
   間の外出は控えるよう心掛けてください。
 (ハ)外出中に不測の事態が起きた場合は,自宅,職場(旅行者の場合は
   ホテル)等,安全な場所に行き,事態が収束するまで待機してくださ
   い。
 (ニ)自宅や職場の周辺で,不測の事態が起きた場合は,近くにある日本
   国大使館又は総領事館に連絡してください。
 (ホ)多数の人が集まる場所及び過去に大規模なデモや集会が行われた場
   所(首都ジャカルタにおいては,ホテル・インドネシア前のロータリ
   ー,独立記念塔,スマンギ交差点,スナヤン競技場,国会周辺,欧米
   主要国大使館前,コタ等)へ行く際には周囲の状況に注意してくださ
   い。
 (ヘ)噂やデマに惑わされないようにしてください。
 (ト)「渡航の是非を検討してください。」の危険情報が発出されている
   地域に渡航・滞在を予定されている方は,滞在中の連絡先等の情報を
   御家族等本邦及び現地の関係者に残すとともに,インドネシア国内の
   日本国大使館又は総領事館ともできるだけ事前に連絡を取って現地の
   最新情報を入手してください。また,不測の事態に備え,食料,飲料
   水を備蓄しておくとともに,パスポート,貴重品,衣類等をいつでも
   持ち出せるように準備しておき,さらに,退避手段についても常時確
   認しておいてください。


(問い合わせ先)
 ○外務省領事局海外邦人安全課(テロ・誘拐に関する問い合わせを除く)
  住所:東京都千代田区霞が関2-2-1
  電話:(代表)03-3580-3311(内線)5139
 ○外務省領事局邦人テロ対策室(テロ・誘拐に関する問い合わせ)
  住所:東京都千代田区霞が関2-2-1
  電話:(代表)03-3580-3311(内線)3678
 ○外務省領事サービスセンター(海外安全担当)
  住所:東京都千代田区霞が関2-2-1
  電話:(代表)03-3580-3311(内線)2902
 ○外務省 海外安全ホームページ: http://www.anzen.mofa.go.jp/
              http://www.anzen.mofa.go.jp/i/ (携帯版)
 ○在インドネシア日本国大使館(在ジャカルタ日本国総領事館)
  【管轄区域:ジャカルタ特別州,西ジャワ州,バンテン州,
   中部ジャワ州,ジョグジャカルタ特別州,中部カリマンタン州,
   西カリマンタン州,南スマトラ州,バンカ・ブリトゥン州,
   ベンクル州,ランプン州,北スラウェシ州(※),
   ゴロンタロ州(※),中部スラウェシ州(※),
   東南スラウェシ州(※),南スラウェシ州(※),
   西スラウェシ州(※),マルク州(※),北マルク州(※),
   パプア州(※),西パプア州(※)(※印の地域は在マカッサル出張
   駐在官事務所が担当)】
  住所:Jl. M.H. Thamrin No.24, Jakarta 10350, Indonesia
  電話: (62-21) 31924308
  FAX : (62-21) 31925460
  ホームページ: http://www.id.emb-japan.go.jp/index_jp.html
 ○在マカッサル出張駐在官事務所
  住所:Jl.Jenderal Sudirman No.31, Makassar, Indonesia
  電話: (62-411) 871030,872323
  FAX : (62-411) 853946
 ○在スラバヤ日本国総領事館
  【管轄区域:東ジャワ州,東カリマンタン州,南カリマンタン州】
  住所:Jl. Sumatera 93, Surabaya, Indonesia
  電話: (62-31) 5030008
  FAX : (62-31) 5030037
 ○在デンパサール日本国総領事館
  【管轄区域:バリ州,西ヌサトゥンガラ州,東ヌサトゥンガラ州】
  住所:Jl.Raya Puputan No. 170, Renon, Denpasar, Bali, Indonesia
  電話: (62-361) 227628
  FAX : (62-361) 265066
 ○在メダン日本国総領事館
  【管轄区域:ナングル・アチェ・ダルサラム州,北スマトラ州,
   西スマトラ州,ジャンビ州,リアウ州,リアウ諸島州】
  住所:Wisma BII 5th Floor, Jl. P. Diponegoro No. 18, Medan,
      North Sumatra, Indonesia
  電話: (62-61) 4575193
  FAX : (62-61) 4574560
 ○在シンガポール日本国大使館
  住所:16 Nassim Road, Singapore, 258390, Republic of Singapore
  電話: (65) 62358855
  ホームページ: http://www.sg.emb-japan.go.jp/