タイ洪水:危険情報引き下げ 日本外務省
タイに対する渡航情報(危険情報)の発出
バンコクの一部にも及んでいたタイの洪水被害は山場を越え、収束に向かっている。日本外務省は16日、バンコクなどタイ中部に発令していた危険情報を引き下げた。一時帰国していたタイ在住の日本人が戻り始めたほか、日本の旅行業界もタイへのツアー募集を再開し、正常化に向けて動きつつある。
洪水による浸水地域は一時、日本人居住区のあるバンコク都心部まで約5キロの地点まで迫ったが、約1週間前から拡大は止まり、都心部の浸水は免れる見通しだ。
外務省は10月27日以降、バンコク全域と周辺5県に「渡航の延期を勧める」との危険情報を発令していたが、バンコク都心部は「十分注意」に2段階引き下げた。浸水が続くバンコク郊外と周辺5県は1段階下げて「渡航の是非検討」にした。
これにより旅行業界もツアー再開が可能となり、大手旅行会社「エイチ・アイ・エス」バンコク支店は「11月から2月がタイの観光シーズン。早く日本人客に戻ってほしい」と呼びかけている。
約1カ月間、臨時休校していたバンコク日本人学校も21日から再開する。一時は約2500人の児童生徒のうち、約2200人が帰国していたという。
タイ政府の洪水対策も、浸水地域の拡大抑止から復旧作業へと焦点が移る。しかし、バンコク北部や西部、周辺県ではまだ1メートル以上浸水している地域もあり、インラック首相は15日、「被害が越年してほしくないが、バンコク西部は(年内中の状況改善に)自信がない」と語り、一部で被害が長期化するとの見通しを示した。