アメリカン航空親会社、破産法申請 高コスト響く
アメリカン航空が経営破綻=破産法申請、運航は継続
米航空3位の米アメリカン航空と親会社のAMRは29日、ニューヨークの裁判所に米連邦破産法11条(日本の民事再生法に相当)を申請したと発表した。人件費の膨張など高コスト体質が響いた。法的整理を経てコスト構造の抜本改革に着手する。当面は通常通りに運航するとしている。
アメリカンは41億ドル(約3200億円)の手元資金があり、破産手続き中の運航などには支障がないとしている。約300億ドルの負債などが重荷となり、AMRは傘下の地域航空会社アメリカン・イーグルの売却を決めるなど経営の選択と集中に着手していた。
ただ、高額の賃金を支払うパイロットとは約5年間、労使交渉が続くなど人件費の削減が進んでいなかった。直近では燃料コストの上昇にも直面し、赤字が続いた。法的整理により迅速な経営再建が必要と判断した。
AMRのジェラード・アーペイ会長兼最高経営責任者(CEO)は退任し、アメリカン航空のトーマス・ホートン社長が会長兼CEOに就く。ホートン氏は「難しい決断だが、効率的で財務的にも強い航空会社になる必要があった」との声明を発表した。ホートン氏はアメリカン航空のトップにもとどまる。
ホートン氏は「労働組合とコスト削減の交渉を続ける」と述べ、まずは人件費を中心にコスト構造の圧縮を進める考えを示した。
アメリカン航空は米国や日本を含む約50カ国で毎日3300本以上の航空便を運航。日本航空と航空連合の「ワンワールド」を通じて提携している。米航空大手ではデルタ航空など大手航空会社がすでに破産手続きを経て再建を進めている。
米国では2010年10月にユナイテッド航空とコンチネンタル航空が経営統合して世界首位に浮上するなど、合従連衡も進んでいる。今回、アメリカンが破綻申請することで、再び業界再編が加速しそうだ。