チュニジア:首都チュニス等における治安情勢に関する注意喚起 / 2012年6月20日

チュニジア:首都チュニス等における治安情勢に関する注意喚起

1.チュニジアでは、6月11日夜から12日にかけて、チュニス市郊外の住宅地で開催された美術展示会に出品された作品が、イスラム教徒を侮辱する内容であるとして、チュニス市内複数の地域でサラフィスト集団やそれに乗じた窃盗団等による暴動が発生しました。チュニジア政府はこうした暴動事件を受けて6月12日にチュニス県、ベン・アルース県、アリアナ県、マヌーバ県の大チュニス圏を始め、スース県、モナスティール県、ジャンドゥーバ県、メドニン県ベンガルダン市の各地域に夜間外出禁止令を発出していましたが同15日には治安が改善したとして右を解除しました。

2.この経緯についてチュニジアでは、イスラム法シャリーアを導入して保守的なイスラム国家の設立を求めるサラフィストと呼ばれるグループが、6月15日の金曜礼拝後に国民へデモを行うよう呼びかけたのに対し、与党である穏健イスラム政党「エンナハダ」も、イスラムの価値観を守るためと称し集会を呼びかけて、緊張が高まっていました。これらの動きを受けて、チュニジア内務省は14日、金曜礼拝後のデモは、いかなる団体も許可されていない旨発表するとともに翌15日は厳重な警戒態勢を敷いたこともあり、懸念されていた大規模な集会やデモは行われませんでした。

3.上記のとおり夜間外出禁止令は解除されましたが、国内の地域間格差や失業問題等の諸問題はいまだ改善されておらず、また、今後、チュニジアの民主化の土台となる新憲法の制定に向け、サラフィストグループとそれらに反対する勢力の間等で、対立や衝突が起こる可能性も排除出来ません。

4.つきましては、チュニジアに滞在・渡航を予定されている方及び既に滞在中の方は、最新の治安情報の入手に努め、不測の事態に巻き込まれることがないよう、特に金曜礼拝後の夕方や夜間においては、不要不急な外出は極力避けると共に、外出先で人が集まっているような場所(モスク近くの広場や大きな通り等)に遭遇した場合は速やかに安全な場所に移動する等、安全確保に努めてください。