2012年10月11日更新 北米でウエストナイル熱の患者が増加しています(更新5)
ウエストナイル熱はウエストナイルウイルスによる感染症です。このウイルスは蚊によってうつり、感染した人のおよそ20%に発熱、頭痛、筋肉痛などの症状を起こします。1%未満と低い割合ですが、重症の脳炎などを起こすこともあります。50歳以上の人が重症になる可能性が高いとされています。有効なワクチンはなく、流行地域では蚊に刺されないことが非常に重要です。このウイルスは世界の広い範囲で発生がみられますが、北米だけでなく東ヨーロッパや地中海地域でも、夏から秋にかけて流行がみられるようになっています。
CDC(米国疾病予防管理センター)によりますと、10月9日時点で、48州から4,249人の患者が報告されており、そのうち168人が死亡しています。このうち、髄膜炎や脳炎などの神経侵襲性の患者が2,123人(50%)、非侵襲性の患者が2,126人(50%)でした。
アメリカ合衆国でウエストナイル熱の患者が報告された2003年以降、10月の第2週までにCDCに報告された患者数としては最も多くなっています。患者数の約70%がテキサス州、カリフォルニア州、ルイジアナ州、ミシシッピ州、サウスダコタ州、ミシガン州、オクラホマ州、イリノイ州の8州から報告されており、全患者数の3分の1以上がテキサス州から報告されています。
なお、2011年のアメリカ合衆国におけるウエストナイル熱患者の合計は712人(そのうち43人が死亡)でした。
また、カナダ公衆衛生庁によりますと、9月29日までに合計386人の患者が報告されました。このうち神経侵襲性の患者が113人(29%)、非侵襲性の患者が206人(53%)、その他の患者が67人(17%)でした。オンタリオ州(226人)、ケベック州(102人)、マニトバ州(39人)、アルバータ州(9人)、サスカチュワン州(9人)、プリンスエドワードアイランド州(1人)の6州から報告されています。なお、プリンスエドワードアイランド州の患者は、州外への旅行歴があります。
蚊はウエストナイルウイルス以外にも多くの病気を人にうつします。蚊に刺されないように十分にご注意ください。また、死んだ鳥をみつけた場合、素手で処理しないようにしてください。