ボーイング「787」試験飛行 運航再開なお慎重論
米ボーイングは25日、相次ぐトラブルで運航を停止している新型機「787」の試験飛行を行った。同社は米連邦航空局(FAA)などに対して独自に提案した電池などの改善策の実効性を証明し、早期の運航再開にこぎ着けたい考えだが、事故調査を担当する米当局からは慎重な意見も出ている。
米ワシントン州の空港で試験飛行する米ボーイングの新型機「787」
ボーイングはLOTポーランド航空に引き渡し予定の機体を使って試験飛行を行った。787を製造するエバレット工場(ワシントン州)に近接する空港で、飛行時間は2時間9分。2人のパイロットのほか4人の専門家が搭乗した。ボーイングは試験飛行は予定通りに終わったとしている。
試験飛行は問題となった電池周辺の強化策が、想定通りに機能するかを検証することが目的だ。同社は今後、飛行データを分析した上で、もう一度試験飛行を行う。
787の発煙事故に関しては、米運輸安全委員会(NTSB)の調査が続いており、事故原因は分かっていない。だが、ボーイングは「ありうる可能性をすべて考えた対策を取る」(コナー民間航空機部門社長)ことで早期の運航再開を目指すとしている。
米報道によると、NTSB幹部は事故原因が判明していない段階でのボーイングの対応を批判。FAAを傘下に置く米運輸省のラフード長官も「新しい設計の安全性に満足できない限り、営業運航の再開は認めない」と慎重な姿勢を強調している。数時間の試験飛行の検証を根拠にFAAが運航再開の判断を下すかは不透明な情勢だ。