アシアナ航空(OZ)は7月24日から26日にかけて、韓国観光公社(KTO)と共同でソウルに日本の旅行業界関係者を招き、ファムツアーを実施した。5月の中東呼吸器症候群(MERS)発生以降、減少している訪韓日本人旅行者数の回復に向けたもので、旅行会社や地方自治体、報道機関、親善団体などからの参加者数は約390名に上った。同ツアーには2社のほか、仁川国際空港やロッテ免税店なども協力。普段と同じ平穏を取り戻したソウルの姿をアピールした。
参加者一行のうち首都圏発のグループは、24日午前にソウルに到着後、明洞や仁寺洞などの繁華街を視察。平日の昼間で、さらに雨天ではあったものの、普段と同様に街を行き交う人々や、営業をおこなう店舗を目の当たりにした参加者からは「誰もマスクなどしていないし、これまでのソウルと変わらない」「以前との違いは、日本人旅行者が少ないことだけ」といった声が多く聞かれた。また、7月に入ってからは新たな患者が発生していないことなどから「状況が落ち着いていることは想像していた」という参加者も多く、「いつもと同じソウルに戻ったことを確信した」といった意見も挙がった。
KTO国際観光本部長の李在成氏 24日の夜にはロッテホテルで、KTOの主催による晩餐会を実施。冒頭で挨拶したKTO国際観光本部長の李在成氏は「政府と国民の努力により、MERSは事実上の収束段階にある」と宣言した。また、「近いうちに(世界保健機関の)収束宣言が出されるだろう」と述べ、宣言が出された際には関係者が力をあわせて、積極的な情報発信をおこなうよう呼びかけた。
本誌の取材に応えた李氏は、MERS発生後の訪韓日本人旅行者数については「正確な数はまだわからないが、前年から20%ぐらい減少したのでは」と語り、大きな影響があったことを説明。ただし、MERSの拡大は院内感染によるものが主で、外国人旅行者には被害が出ていないことなどから、収束宣言が出された後には早期の回復が期待できるとした。