スターフライヤー(7G)はこのほど、2015年度から20年度までの中期経営戦略「"らしさ"の追求2020」について、17年度以降のローリングプランを策定した。15年5月の発表時には掲げていなかった20年度の業績目標を定めたほか、国際線への再参入も盛り込んだ。
20年度の業績目標は、新たに売上高を16年度比29.0%増の450億円、営業利益を21.5%減の24億円、経常利益を19.6%減の24億円、当期純利益を32.7%減の13億円に設定。営業利益率は3.5ポイント減の5.3%、ユニットコストは0.7円減の10.3円をめざす。減益の要因は、国際線就航のための人材育成やシステム変更、また17年度以降の燃油代などの費用増などを考慮に入れたという。
17年度については、売上高は16年比6.1%増の370億円、営業利益は燃油費の増加や円安の影響、路線増などに伴う変動費の増加などにより34.6%減の20億円、経常利益は33.0%減の20億円、当期純利益は税務上の繰越欠損金が解消されたことから48.2%減の10億円と減少する見込み。売上高営業利益率は3.4ポイント減の5.4%、ユニットコストは0.3円増の11.3円を予想する。
なお、16年度の実績は、売上高は前年比1.3%増の348億8600万円、営業利益は50.5%増の30億5800万円、経常利益は12.6%増の29億8500万円、当期純利益は24.5%減の19億3100万円だった。営業利益は機材整備のための計画運休による変動費の減少や、原油価格の下落による燃油費の減少などで増加。当期純利益は税務上の繰越欠損金が解消されたことや、繰延税金資産の取り崩しなどにより前年を下回った。売上高営業利益率は2.9ポイント増の8.8ポイント、ユニットコストは前年並みの11.0円。
▽北九州/那覇線は実績次第で期間延長も、国際線はアジア内で
今後取り組む旅客運送事業の拡大については、今年の7月4日から10月10日まで、夏季限定便として北九州/那覇線を開設する予定。昨年12月にエアバスA320-200型機を1機導入して10機体制にしたことを受けたもので、実績次第では18年度以降も運航を継続する考え。18年6月には新たにA320-200型機を1機導入する予定だ。
18年冬ダイヤからは、アジア圏内で4年半ぶりに国際線定期便の運航を再開する考え。7Gは12年7月から14年3月末まで北九州/釜山線を運航していたが、業績悪化により運休し、現在は繁忙期などに北九州から台北(桃園)や韓国南部の務安へのチャーター便を運航している。今年のゴールデンウィーク期間についても北九州/桃園間を3往復、務安間を5往復運航している。
そのほかには「質へのこだわりでお客様に選ばれる企業」をめざし、ファンを増やすための取り組みとしてターゲット層を拡大。従来の30代と40代を中心としたビジネス目的の乗客に加えて、今後はF2層やシニアのレジャー需要などの取り込みも強化する。そのほかF1層や家族連れのレジャー需要、訪日外国人などの獲得にも取り組む考えだ。
加えて、ホスピタリティの向上にも取り組む。7GはJCSI(日本版顧客満足度指数)調査の「国内長距離交通業種(国内航空)」において、16年度まで8年連続で顧客満足度の第1位に選ばれているが、今後は同カテゴリに限らず、全業種における顧客満足度の上位10位内に選ばれることを目標とするという。このほかブランディングやユーザビリティの向上、財務基盤の強化、コンプライアンスやリスク管理の強化などにも努める。