観光庁は2016年5月30日、2017年度(平成29年度)版観光白書を発表した。2016年の観光動向や講じた施策に加え、2017年度の施策についてとりまとめたもの。また、今年度は「持続可能な賑わいを有する観光地づくりに向けて」と題したテーマを主軸に、将来に向けた課題提起や進めるべき取り組みを提示している。
「持続可能な賑わいを有する観光地づくり」の背景としてまず示されたことは、「国内観光地を取り巻く環境の変化」。訪日外国人による観光消費が拡大する状況に対して国内消費が横ばいとなっている状況を解説。加えて、団体旅行の減少、自動車利用旅行の減少と列車利用増加の対比、SNSなどを通じて閲覧した映像が旅行のきっかけになる傾向が強くなっている状況を示しながら、観光市場の変化の全体像を示した。
その一方で、国内旅行者が期待する旅行のニーズは「温泉旅行」「自然観光」「グルメ」「歴史・文化観光」「テーマパーク」などが上位となり、1998年の調査結果と変化がないことも特徴的な事象として示されている。
今後、重視すべき取り組みとしては、(1)観光資源の磨き上げ、(2)インフラ整備と連動したソフト対策の実施、(3)マーケティングにおけるターゲットの明確化の3点を示唆。複数地域の事例分析を踏まえ、「観光資源の世界遺産登録と回遊できるまちづくり」「街路整備や無電柱化、ホテルの改修等インフラ整備」、「国内・インバウンドを問わず重点的な集客対象とした施策の実施」といった重要要因を提示。さらに、これらを実現するためには、DMO(Destination Management/Marketing Organization)を設立し、適切に運営していくことが極めて有効だとしている。