観光庁は6月15日、てるみくらぶ問題について再発防止策を検討するための「経営ガバナンスワーキンググループ(WG)」の第2回会合を開催した。同WGは「新たな時代の旅行業法制に関する検討会」の下に設置した会議体で、この日は前回会合で事務局が示した2つの論点のうち「企業のガバナンスのあり方」について議論。委員は旅行会社の経済状況の把握方法や監査体制、広告表示や旅行者募集のあり方、旅行会社から宿泊施設への支払期間の見直しなどに関して、意見を交換した。
終了後にブリーフィングをおこなった同庁の観光産業課によると、事務局は旅行会社の経済状況の把握方法について、5年ごとの旅行業登録の更新年度以外においても状況をチェックすること、観光庁や業界団体が毎年確認している各社の旅行取引額など以外にもチェック項目を拡充すること、サプライヤーなどによる通報制度を設けることなどを提案。委員からは実効性のある制度設計を求める声が挙がり、「対象となる旅行業種の範囲や、提出書類の種類などについて整理すべき」などの意見が寄せられた。通報制度については単なる誹謗中傷にならないよう、通報内容の正確さなどについて基準を設ける必要性も指摘されたという。
事務局が公認会計士による監査の導入を提案した監査体制のあり方については、旅行会社の多くは中小企業で急な監査への対応は困難であることから、簡素化された制度の導入を検討すべきとの意見が寄せられた。そのほか、不適切な会計処理などについては、経営陣が関与しているケースと実務担当者によるケースの2種類が考えられることから、各社内の監査体制を検討すべきとの意見も挙がった。
旅行代金を事前に受け取る「前受金」の規制を提案した広告表示や旅行者募集のあり方については、特段の異論はなかったという。同庁は規制の方向性として、人気の宿泊施設などは一定額のデポジットを事前に預ける必要があることから、支払期間を制限するのではなく、前受金を徴収する意図をあらかじめ旅行者に説明する責任を負わせるなど、使途を明確にする方法を検討する考えを示した。
旅行会社から宿泊施設などへの支払期間などの見直しについては、「旅行業界においてすでに確立した商習慣があるため、行政サイドが期間を定めると却って制度的な歪みが生じるのでは」と危惧する声などが挙がった。一方で、支払いのタイミングに関しては「旅行者から旅行代金を預かったら、直ちに宿泊施設などに支払うべきでは」との意見も挙がったという。
今後は来週中に第3回会合を開催し、もう1つのテーマである「弁済制度のあり方」を中心に議論する。その後、7月中に開催する第4回会合でWGとしての意見の取りまとめをおこなう予定。