デルタ航空(DL)は来年1月8日の運航を最後に、成田/グアム線を運休すると発表した。「需要の低下により路線の維持が難しくなった」とのことで、ロードファクターについては「悪くはなかったが、路線を維持する基準には満たなかった」という。DLは昨年3月に中部/グアム線を需要減などを理由に運休。残された成田線は日本/グアム間のみならず、同社が運航する唯一のグアム路線だったため、グアムから完全撤退することになる。
同社太平洋地区広報部によれば、成田/グアム線については注力を続けていたものの、近年はLCCの伸長などにより、日本から安価で訪問できるデスティネーションが増加。その結果、日本人のグアム旅行需要が減少したことなどが背景にあるという。北朝鮮のミサイル発射については「まったく関係ないわけではないが、主要因や決定打になったわけではない」と説明した。なお、10月29日に中部/グアム線の開設を予定していた香港エクスプレス航空(UO)は、就航時期を来夏以降に延期している。
旅行会社など、関係者へ説明は9月15日から開始した。1月9日以降の予約については全額払い戻しするか、同路線を運航する日本航空(JL)かユナイテッド航空(UA)への振替を促すという。広報部は「旅行会社経由の予約が多いので、旅行会社の皆様にはご協力いただきたい」としている。
DLは成田/グアム線の運航を、ノースウエスト航空時代の1981年4月に開始。現在は週12便で運航している。使用機材はB757-200型機で、座席数はビジネスクラス20席、「デルタ・コンフォートプラス」19席、エコノミークラス130席の計169席。なお、現在は同社のみが運航している成田/サイパン、パラオ線については運航を継続する。
グアムについては夏期を中心に、多くの旅行会社がパッケージツアーを造成しているところ。ジェイティービー(JTB)広報室は本誌の取材に対し、DL 便を利用して1月9日以降に出発するパッケージツアーについては催行中止とし、JL便またはUA便を利用する商品の新規予約を促す方針を説明。座席供給量の減少による影響については「長期的には航空券価格の上昇につながるのでは」と述べ、旅行代金に反映される可能性について懸念を示した。
エイチ・アイ・エス(HIS)は、運休開始の時期が閑散期にあたること、現時点では多数の予約が入っていないことなどから「今のところは大きな影響はない」と説明。収益への影響については「サイパンやセブなど、他方面でカバーできるのは」と回答した。
なお、グアム政府観光局(GVB)によれば、2016年の日本人訪問者数は、DLの中部線運休などにより前年比3.5%減の74万5691人に。今年の1月から7月までの累計も9.3%減の38万533人と低迷している。