12日の定例会見で国土交通大臣の石井啓一氏は「観光庁で受益と負担のあり方などの観点から、諸外国の事例を参考にしながら検討してきた。外部のさまざまな意見を取り込み、検討の具体化を進める」と説明。政府は「明日の日本を支える観光ビジョン」で「受益者負担による財源確保の検討」を打ち出しており、新たな財源を確保することで各種の施策を推進し、20年の訪日外国人旅行者数4000万人、年間訪日旅行消費額8兆円、日本人国内旅行消費額21兆円などの目標達成をめざす。
検討会では財源確保の具体的な方法や、その使途について議論。観光庁は税制改正要望において「出入国、航空旅行の際に外国人旅行者や出発・出国旅客から租税、手数料を徴収している例が見られる」と述べた上で、米国の電子渡航認証制度(ESTA)や韓国の「出国納付金」、オーストラリアの「出国旅客税」などの例を列挙しており、これらの例に基づき議論を進める考えだ。なお、同庁は本誌に対し、一部のメディアが報道した「出国税」の検討については「出国税ありきの議論ではなく、税金以外の方法についても議論する」と説明した。
初会合では旅行市場の現状や諸外国の事例について情報を共有するとともに、幅広く意見交換をおこなう予定。9月にはさらに1回、10月に2回か3回の会合を開き、議論を取りまとめたい考えだ。なお、検討会の構成員には日本旅行業協会(JATA)や全国旅行業協会(ANTA)などの代表は含まれていないが、業界団体に対してはヒアリングをおこなう予定で、第1回会合でその手法や内容について検討する。会合に業界関係者が直接出席して意見を述べるか否かについては未定という。