デルタ航空(DL)は10月から、機内のWiFiサービスを利用してスマートフォンで送受信するテキストメッセージを無料化した。同社によれば、太平洋・大西洋横断路線を運航する米国の航空会社による取り組みとしては初めて。国際線用の全機材と、一部を除く国内線用機材で提供する。
対象となるのは、Facebookメッセンジャー、iMessage、WhatsApp。WiFiに接続後、DLのポータルサイトで「Free Messaging」を選択してから利用する。
外務省はこのほど「海外安全ホームページ」で、ケニアについて注意喚起のためのスポット情報を発出した。8月8日の総選挙投票日に向け、候補者間の対立などにより各地で治安が悪化していることを受けたもの。29日以降を予定する新大統領就任までは、危険レベル2に相当する「不要不急の渡航は止めてください」と呼びかけている。やむを得ず滞在する旅行者には、集会や投票所などに近づかないよう要望。同国では2007年の総選挙の際に、暴動などで1000人以上が死亡している。
外務省はあわせて、同国の北東部や沿岸部ではイスラム教過激派組織によるテロ事案が多数発生していることも指摘。また、7月にはコレラの流行について別途スポット情報を発出したことも改めて周知している。
テロの脅威を理由に、米政府が検討していた欧州/北米路線における電子機器の機内持ち込み規制案がひとまず回避されることになった。
AP通信によると、ノートPCやタブレットの機内持ち込み禁止規制の対象を現状の中東だけでなく、欧州路線にも適用することを協議していたが、5月17日に行われたEU(欧州連合)当局との会談では決定が見送りに。米EU当局は「情報共有をよりよいかたちで緊密に」行うことで合意した。次週、再び米ワシントンで会合を開く見通しだ。
欧州/北米線は、世界で最も混雑した航空路線となっており、1日当たりの便数は400便、年間の利用者数は6500万人。大半がビジネス客で、機内でも電子機器を使用している。このため、欧州路線で電子機器の機内持ち込み禁止が実施されれば、大混乱が予想されている。今回は北大西洋路線での大混乱はひとまず回避された格好だが、引き続き視界が不透明な情勢が続きそうだ。
外務省はこのほど「海外安全ホームページ」において、欧州全域におけるテロ活動への注意喚起のための広域情報を発出した。2月3日のルーブル美術館における襲撃事件、3月18日のパリ・オルリー空港における武器奪取事件に続き、3月22日にはロンドンのウェストミンスター橋と国会議事堂で車両突入によるテロ事件が発生したことを受けたもの。フランスや英国以外でもテロの企図者などが摘発されていることを踏まえて、旅行者などには「欧州ではいつテロ事件が起きてもおかしくないとの認識を持つことが重要」と警告している。
旅行者に対しては、「ここは日本ではない」という意識を持つこと、最新の関連情報の入手に努めること、テロの標的になりやすい観光施設などでは周囲の状況に注意を払い、できるだけ滞在時間を短くすることなどを要望。そのほか3ヶ月以上の滞在については在留届の提出を、3ヶ月未満の場合は「たびレジ」への登録を推奨している。
また、外務省がテロ対策に関するパンフレットを複数制作していることを改めて説明。「海外旅行のテロ・誘拐対策」「海外へ進出する日本人・企業のための爆弾テロ対策Q&A」などをインターネット上で公開していることを紹介している。
海外邦人安全協会はこのほど、外務省診療所長の仲本光一氏を講師に招き「海外への赴任・渡航前に注意すべき医療事情と安全対策」と題した講演会を開催した。仲本氏は旅行業界などから参加した企業の危機管理担当者など約60名に対して、赴任前の情報収集や予防接種、現地での体調管理や保険加入などの重要性について説明。終了後の本誌の取材に対しては「多くが短期旅行者にも当てはまる」と述べ、旅行会社などの協力に期待した。
仲本氏は講演で、昨年に世界的な注目を集めたジカ熱など、主な感染症の発生状況について解説。このうち今年に入りマレーシアで日本人が死亡したデング熱については、東南アジアでの流行が「かなり危険な状態にある」と伝え、感染の疑いがある場合は受診など早期の対応が必要と説明した。
ジカ熱やデング熱などと同じく蚊が媒介するマラリアについては「初発症状が出てから5日以内に治療を開始しないと50%が死亡する」と述べ、「帰国後に間違った診断をされると命取りになる」と強調。一昨年に韓国で問題化した中東呼吸器症候群(MERS)についても「忘れ去られているが、中東ではコンスタントに発生している」と伝え、引き続き警戒を怠らないよう注意を促した。
そのほかには旅行者下痢症など、多くの旅行者が罹りやすい疾病への対策についても説明。重症疾患への対策としては海外旅行保険への加入を強く推奨し「掛け金が少ないと搬送先が限定されるが、4000万円あれば日本に搬送してもらえる可能性が出てくる」など具体的なアドバイスを示した。また、世界各国の医療事情をまとめて発信している外務省のウェブサイトについてもアピールし、「是非利用してほしい」と呼びかけた。
外務省の海外邦人援護統計によれば、日本人出国者数が1621万3789人に上った2015年の総援護人数は2万387人。死亡者数は533人で、そのうち傷病による死亡が約8割を占める。
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